バルコらしい空間デザインの考え方
シンプルで機能的。開放的で居心地もいい。清潔で安心感があり、お客さまが気持ち良く利用できる。そして、洗濯をすることがリフレッシュにもなる。 これらはバルコが理想としている、店舗のあり方です。 コインランドリーとはこういうもの。そんな常識にとらわれることなく、バルコらしい空間となるように、店舗や什器を設計、デザインしています。 バルコのある街で暮らしたい。日々の生活を豊かにしてくれる、インフラのような存在になることも理想の1つ。今回は、そんなバルコの店舗を200店舗以上設計しているメンバーを紹介します。
使いやすい動線から考える
バルコの店舗は、新築することもありますが、多くは既存の物件をバルコの店舗に作り替えています。今回の取材で訪れたのは、東京都江東区にある、Baluko Laundry Place 江東枝川店。尾野が設計を担当し、2022年にオープンした店舗です。
ガラス面が大きく、天井も高い。明るくて開放的な空間で、昼間は自然光がたっぷり差し込みます。
黒い外観に、白のバルコのロゴマークが際立っています。できるだけ多くの人に「ここにバルコがあるんだ」と気付いてもらえるように、駐車場内のフェンスの向こう側にある飲食店やコンビニからも「Baluko Laundry Place」というロゴが見えるように設置しました。
尾野:「新築でも既存の物件を作り替えるケースであっても、設計におけるコンセプトは同じです。なるべく広く感じてもらえるように、ガラス面をできるだけ多くとって圧迫感のない空間を目指しています。既存の物件の場合、制約や条件を踏まえつつ、できる限り壁をガラスに変えたり、不要な天井は取り外したりして、理想の店舗に近づけていきます」
設計するとき最初に考えるのは、洗濯に訪れたお客様がストレスなく使える「動線」です。
洗濯機から乾燥機へ。洗濯物の移しやすさを考慮し、大型の洗濯機の近くに大型の乾燥機を設置するなど、機器の 配置は動線を踏まえて考えていきます。
尾野:「洗濯機や乾燥機の扉を開けてランドリーワゴンに洗濯物を取り出す。そして、ランドリーワゴンに入れてスムーズに移動できるように、洗濯機や乾燥機と、洗濯物を畳んだり整理したりするためのたたみ台の距離感も重視しています」
たたみ台のサイズや台数は、店舗の大きさによってアレンジ。高さは統一し、ランドリーワゴンがたたみ台の下に収まるようにデザインされています。
色は最小限、トーンは合わせる
業務用の洗濯機や乾燥機がずらりと並ぶ空間ですが、バルコの店舗は洗練されていて温かみも感じられる。その理由は、色と素材の組み合わせにヒントがあります。
業務用の洗濯 機や乾燥機の色は、バルコオリジナルです。洗濯機や乾燥機、洗濯乾燥機はすべてマットなシルバー。そのトーンに合わせて、各機器に取り付けているコースを説明するパネルや、壁に貼る看板の色はチャコールグレーで統一しています。
シンプルだけど、クール過ぎない。居心地の良さはバルコの特徴です。そのポイントは、異素材をバランスよく組み合わせたインテリアコーディネートにあります。
尾野:「たたみ台はスチール製ですが、小さな棚や壁際に設置しているベンチは木製です。機能に特化した無機質な空間にならないように、有機的な素材の家具を意識的に取り入れるようにしています」
ベンチの素材や座面のサイズ、高さなども検証を重ねています。毎回、試行錯誤。200店舗以上設計しているので、既に完成系かと思いきや、最適な座り心地、使いやすさを追求し続けています。
尾野:「ベンチは荷物を置いたり、ゆったり座わったりできて使い勝手がいいですよね。より使いやすくなるように、最近ベンチにはひとり分のスペースがわかる仕切りも入れています」
「Baluko Laundry Place 江東枝川」は、木製の梁がアクセントになっています。
尾野:「これは飾りで取り付けたものではないんです。同店は木造建築で、構造の一部。当初は天井で覆って隠す予定でしたが、建設途中でインテリアとして生かせると考え、急遽、変更しました」