【ユーザーインタビュー】限られた“隙間時間”を楽しく気ままに -人気中華料理店オーナー 五十嵐可菜


京王井の頭線の永福町駅から、ゆっくり歩いて5分ほどの場所にある「中華可菜飯店」は、旬の食材を活かした滋味にあふれた料理で来店客をもてなす、人気のお店です。 オーナーの五十嵐可菜さんは以前、自宅近くにあったバルコをよく利用していたそう。 洗濯の合間に、お気に入りのお店に立ち寄ったり、漫画を読んだり、メールを返したり。 忙しい毎日のなかにある小さな習慣として、バルコに行く時間も楽しんでいたと語ります。

消えてこそ心に残る”料理”という芸術
「中華可菜飯店」がオープンしたのは、2021年7月。お店のコンセプトは「健全でヘルシーな中華料理」です。


「セミドライトマトとクミン、ラムの焼売」「舞茸ととうもろこしの水餃子」「秋刀魚と秋茄子、バジルの春巻」など、一般的な中華料理のイメージとは違う、点心を中心とした現代的なメニューの数々。
油を控えめに、旬の野菜や魚など新鮮な食材をふんだんに取り入れることで、“食べて疲れない”中華料理を提供しています。築地や地元の八百屋に足を運び、自分の目で確かめながら「今、いちばんおいしいもの」を厳選。仕入れた食材によってメニューは変わるそうです。
五十嵐さん:「私自身、脂っこい料理が好きではないので、自分が食べたいと思える日本の旬を取り入れた中華料理を探求しています」
料理と同じくらい大切にしているのが、料理を食べる空間づくりです。
7人から10人くらいが座れる大きな円卓と、3人分のカウンター席。こぢんまりとしたつくりながら、通りに面した1枚ガラスによって、のびやかな空間となっています。お店のシンボルとなるような円卓をどうしても置きたくて、それをかなえられる場所を選んだといいます。

五十嵐さん:「この内装は『上海の田舎にあるけど、清潔感があるお店』というテーマでオーダーしました。上海の路地を抜けた先にある、こぢんまりとしているけれど清潔感があって、料理はとびきりおいしい。そんなお店をイメージしました」
おいしいことは、大前提。ただ、どんなにおいしい料理でも、食べる空間や器、人とのやりとりがあって、味は完成するもの。そんな料理を届ける過程を、五十嵐さんはとても大切にしています。そんな総合的な視点は、大学で空間デザインを学んだことで得たものだそう。
デザインから料理の道へと進んだ五十嵐さん。そのきっかけは、大学で受けた精進料理の授業でした。
五十嵐さん:「そのときの授業で『料理は消えるからこそ心に残る。一番はかない芸術』と先生が教えてくださり、その言葉にとても感動しました。それが料理の道への第一歩。この言葉は、今も私の指針となっています」
余裕のある日にこそ、のんびりバルコへ
中華可菜飯店のオーナーとして、忙しい日々を過ごす五十嵐さん。
以前の生活圏にはバルコの店舗があり、週に1、2回のペースで通っていたそうです。布団を洗濯から乾燥まで一気に仕上げたり、定期的にスニーカーを洗ったり。自宅の洗濯とバルコでの洗濯を使い分けながら、日常の家事も自分らしく行っていました。
五十嵐さん:「当時は一人暮らしで、基本は家で洗濯をして、バルコでは乾燥機だけを利用することが多かったです。特にバスタオルは、ふんわりしっかり乾かせるので部屋干しに は戻れませんでした」
ユニークなのは、バルコを時短のためだけでなく、むしろ「時間に余裕があるとき」に利用していたことです。

五十嵐さん:「家から歩いて10分くらいの場所にあったので、散歩しながら行くのにちょうどよかったんです。だから、すごく忙しくて時間のないときよりも、時間に余裕があって、出かける予定がないときに『そうだ、バルコに行こう』って。ふと思い立っていくことが多かったと思います」
そして、洗濯や乾燥が終わるまでの待ち時間は、バルコの店内でメールの返信のような小さなタスクをこなしたり、漫画を持っていってのんびり読んだり。
五十嵐さん:「家だとすぐ集中力が切れて続かない事務作業も、洗濯や乾燥をしながらの“限られた待ち時間”だと、なぜかサクサクできるんです」
洗濯から乾燥まで一気に回しているときは、近くにあったお気に入りの定食屋に足を運ぶこともありました。
五十嵐さん:「食べ終わった帰りに、バルコに寄って布団を持って家に帰るというのが、数ヶ月に1回のルーティン。隙間時間をうまく活用して、気ままに楽しく過ごしていました」
五十嵐 さんとバルコとの出会いは偶然、街を歩いていて見かけたことでした。昔ながらのコインランドリーとは全く印象が違う雰囲気に驚いたそうです。
五十嵐さん:「バルコと出会う前から、ときどきコインランドリーは利用していました。そのときは、女性ひとりが店内で待つのは、なんだか落ち着かなくて、待ち時間は家に帰っていました。移動時間がかかるので、コインランドリーで快適に過ごせたらいいのに・・・と思っていたとき、バルコに出会ったんです」

温泉の合間に、また通いたい場所
現在、五十嵐さんは兵庫県・城崎温泉で暮らしながら、月に一度は東京に滞在し、中華可菜飯店の仕事をするという二拠点生活を送っています。
五十嵐さん:「結婚を機に、拠点を城崎温泉に移しました。夫が経営しているビストロが城崎にあって、ふだんはそちらの仕事を手伝っています。中華可菜飯店は料理長に任せているんですけど、月に一度は東京に戻って、1週間くらい滞在してお店に立ったり、料理長とレシピの相談や打ち合わせをしたりしています」

城崎温泉と東京を電車で行き来するには、新幹線や在来線の特急を乗り継ぎ、5時間以上かかります。五十嵐さんは、その移動時間を「バルコで洗濯を待つ時間と同様、限られているからこそ、むしろ充実して過ごせる」といいます。
五十嵐さん:「ただ残念なのは、今の住まいの近くにバルコがないことです。バルコがない生活になってみて、隙間時間を気ままに楽しく、有効的に過ごせていたことに気付きました。城崎温泉は観光地ですが、地元の人も自宅のお風呂のように温泉を利用しています。もしバルコがあったら、温泉に入っている合間に利用する人は多いと思います。私は絶対に利用するので、城崎温泉にもできたらいいなと思っています」


五十嵐可菜さん
中華料理店「中華可菜飯店」オーナー
▷中華可菜飯店 Instagram
▷五十嵐さん 初のレシピ本、『「中華可菜飯店」の蒸し料理』発売中!
