代々木上原から広がる、メンテナンスしながら使い続ける、これからのスタンダード


GMT FACTORY アコルデ代々木上原は、革製品や洋服などの修理やメンテナンスの専門店。 修理も洗濯も、大切なものを長く使い続けていくための手段のひとつ。 GMT FACTORYとバルコ、実はとても共通点が多いのです。 今回はそんなGMT FACTORYで 、洋服の修理を担当している職人の秋田拓郎さんと三ツ矢萌さんにお話を伺いました。
古着らしさを残しながら修理する
バルコのフラッグシップショップ、代々木上原店のオープン以来、同じ町でサービスを提供してきたバルコとGMT FACTORY。「衣類のメンテナンスをテーマに、一緒に面白いことをしたいですね」と、2024年8月にはバルコ代々木上原店内でGMTのポップアップショップを実施しました。GMTのメンバーがバルコ代々木上原店内にミシンを置いて修理を受け付けるといういつもと違う景色で、「衣類のお直し」を身近に感じていただきました。
手入れをしながら使い続ける考え方と、代々木上原エリアという活動エリア。
GMT FACTORYはバルコとふたつの共通点があり、緩やかにつながり続けている関係です。
お店があるのは、代々木上原駅に直結した駅ビルの2階。入り口の正面にカウンターがあり、レザーケア用品やシューアクセサリー、シューレースなども販売しています。
代々木上原にはセレクトショップやカフェなどがある一方で、昔ながらの商店もある。代々木公園も歩いてすぐの場所。著名人が多く暮らす街としても知られています。
お客さまは地元の人から、休日はお出かけついでにGMT FACTORYに遠方から足を運ぶ人まで、年齢層も幅広いのが特徴です。
秋田さん:「僕らと同じ20代で増えているのが、古着の修理。たとえば、破れていて修理が必要なところを直しつつ、古着の雰囲気はそのまま残してほしいとリクエストされることが多いです。感覚的なのですが、直しすぎないように修理しています。
古着のサイズ調整のオーダーの場合は、実現できることとできないことがあるので、そのことは明確に伝えるようにしています。たとえば、ここまでサイズを詰めるとポケットの位置がずれてしまい、バランスが崩れる可能性があることなど、最終形をイメージしながらお伝えしています」
三ツ矢さん:「いろいろな年代のお客さまから毎日違う仕事を依頼されるのが、仕事の面白さでもあるなと思っています。たとえば、同じ丈詰めでも、一つひとつやり方は違います。だから、修理の仕事はすればするほど経験値が上がり、対応できる仕事も増えていくんです。覚えなければならないことは、まだまだたくさんありますが、自分の成長を実感しながら働けるので、やりがいも感じています。
あと、ジャケットやシャツなどのボタンを一式変えてほしいと、好みのボタンを持ち込まれたお客さまもいました。服の印象が変わるので、パーツの付け替えもおすすめです」
修理して思い出を残すお手伝い
秋田さんと三ツ矢さんが作業する場所は、カウンターの後ろ側。作業台を囲むように業務用ミシンが何台も設置され、ハンガーには修理やメンテナンスを受け付けた洋服が並ぶ。コンパクトスペースが最大限に活用された、機能的で働きやすい空間です。
三ツ矢さん:「2年前からGMT FACTORYで働いています。大学では、テキスタイル学科で服作りを学び、縫製は一通りできる。だから、学生時代は洋服のお直しに出したことはありませんでした。ただ、革製品のケアは自分ではできないので、修理に出したことがあるんです。それをきっかけに、お直しの仕事や、長く使うためにメンテナンスをする考え方に興味を持ちました」
秋田さん:「僕は6年ほど前から働いています。この仕事の面白さのひとつが、修理を通じて、お客さまの思い出を残すお手伝いができることです。先日もシャツの修理の依頼があったのですが、それは、お子さんが初めてプレゼントしてくれたもので、とても大切にしているものなのだと教えてくれました。いつも丁寧に仕事をしていますが、より心がこもった気がします。数日後、修理が終わって受け取りに来られたとき、仕上がったものを見て喜んで頂けて、僕もうれしい気持ちになりました」
新品の状態ではなく、使い込まれた服。秋 田さんと三ツ矢さんは、修理を通じて、服の素材や縫製の仕方など、服の見方が変わったと言います。
三ツ矢さん:「素材選びや縫製がしっかりしているブランドもあれば、その逆もあります。価格と縫製の質は必ずしも比例しているとは限らず、リーズナブルな服でも丁寧に縫製されていることも珍しくありません。自分の服を買うときも、縫製や素材をチェックするようになりました」
秋田さん:「たしかに僕も素材は、特に意識するようになりました。正しく洗濯することが、服のメンテナンスにつながることも、この仕事を通じて知ったことです。いつかは、古いものを大切に長く使う文化が根付いている、フランスやイタリアで修理の仕事をしたいです。それが実現できるまで、経験できることは何でもやっていきたいと思っています」
左:三ツ矢萌さん
美大のテキスタイルデザイン学科で洋服づくりを学び、2022年からGMT FACTORYに勤務。細かい作業にじっくり取り組むことが好きで、一般的な修理に加え、ニットの修理も担当しています。ダッフルコートのボタン部分の麻ひもを編むことも得意です。
右: 秋田拓郎さん
服飾専門学校を卒業後、衣装の製作会社に就職。2019年からGMT FACTORY(途中2年ほど退職していた期間あり)に勤務しています。デニムの穴補修のようなカジュアルな修理が得意。バックパックのストラップや犬用おもちゃなど、服以外のメンテナンスに挑戦しています。現在、かけはぎ(かけつぎ)の技術を勉強中。