防災とランドリー

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#そなえるランドリー#バルコをつくる人#バルコのこと
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生活に密着した「コインランドリー」というサービスを提供するものとして、災害が発生したときにバルコはどんな貢献ができるのか。被害や困窮を少しでも小さくするために何ができるのか。明確な1つの正解がある課題ではありません。それでも私たちにとっては考えることを諦めてはいけない、大事なテーマのひとつです。

震災の記憶

日本に生まれ育った人には、誰にでも目に焼き付いた災害の日の光景があるはず。いくつもの「大震災」や「水害」を経て、幸いにもいま日常生活を送れている私達ですが、「あのとき何ができたか」という問いは、節目節目に、心の中にくすぶります。

2017年に1号店が誕生したバルコが、はじめて災害に直面したのは2024年1月1日の能登半島地震でした。石川、富山、新潟にある4店舗でガスの供給が一時停止するなどし、一時営業がストップ。ドーナツカフェが併設するバルコ金沢示野店では棚が倒れ、食器が店内に散乱しました。ほとんどのコインランドリー店と同様、バルコも365日営業しています。元旦に発生した震災の直後も安全確認と復旧を速やかに行い、数日以内に営業を再開しました。

営業再開後から「何ができるか」を話し合い、長期間の断水が発生した地域から車で1時間以内の距離にあったバルコ富山呉羽店では、一定期間無料で洗濯と乾燥を提供し、バルコ金沢示野店ではドーナツの売上の一部を復興のために寄付する取り組みを春まで継続しました。

洗濯機器提供や寄付金での支援を通して、チームバルコの心には「被災地のために少しだけ貢献できた」という実感の一方、「もっとできることがあったのではないか」という想いが残りました。
 

「洗濯」はなくてはならないもの

能登半島の地震で断水が広範囲かつ長期間におよび、断水エリアでの「洗濯」が大きな課題に。断水エリアに隣接したコインランドリーでは長蛇の列ができ、車で1時間以上離れたバルコ金沢示野店にも被災された方が多く来店されました。災害時はまず飲料水の確保、入浴やトイレが最優先事項ですが、避難生活が長引けば必ず洗濯が必要になります。

北海道小清水町には、災害時に衛生環境維持の役割を担うことを前提したバルコの店舗があります。「小清水町防災拠点型複合庁舎」内で営業するバルコ小清水町ワタシノ店は、平常時、災害時それぞれ活用される「フェーズフリー」の考え方で、町役場併設されています。

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Baluko Laundry Place 小清水町ワタシノの店内。同店では2025年1月26日に震災の発生を想定した施設全体の防災訓練を実施。ランドリーでは非常電源下での機器稼働テストや、節水コースへの変更手順を確認しました。

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「フェーズフリー」は身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方。小清水町防災拠点型複合庁舎役場は、役場の機能を合わせもつ公共施設としては日本ではじめてのフェーズフリー施設です。
参照:一般社団法人 フェーズフリー協会


バルコ小清水町ワタシノ店の事例を今後全国の自治体に広げられるように進めて行きますが、並行して、いま全国にあるバルコの店舗が災害時にどんな協力ができるかも、各自治体と少しずつ協議を進めています。

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2024年4月13日にオープンしたBaluko Laundry Place みずほ台は、災害時に被災住民の方々を支援するため、店舗内にガスコンロや発電機、電灯などの防災用品を備えています。災害時に防災用品とコインランドリー機器を迅速かつ円滑に提供するため、富士見市との間で協定を締結しました。

 

そなえるランドリー

災害時に発生する課題は、地域によっても異なります。バルコの店舗のうちおよそ70%は東京や大阪などの住宅地・市街地に位置しています。そのような地域で災害が発生したときに、まちなかのコインランドリーだからこそ、提供できるものは無いか、と考えて誕生したのが「そなえるランドリー」です。

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「そなえるランドリー」は災害時に地域の皆様と、やむを得ずその場にとどまる必要がある帰宅困難者の方に、通常はコインランドリーとして営業している店舗のスペースを一時的な滞在場所として提供する取り組みです。店内には、一定数の方が店内で一晩を明かすのに必要な非常用備蓄品を店内に常備しています。


2011年3月11日の東日本大震災。東北地方の被害と比較するとごく小さい被害ですが、都心部では公共交通機関が停止し、歩いて帰宅しようとする人で道が溢れました。筆者自身の場合は震災発生後の16:00ごろ職場を出て、帰宅できたのが22:00近く。自宅に向かって歩く途中のコンビニはほとんどの商品が売り切れ、自転車店では帰宅するための自転車を購入しようとする人が列をなしていました。
もし体が不自由だったら、もし子どもを連れて歩いていたら自宅までたどり着くことはできなかったかもしれません。
「都心部のコインランドリーで災害時に何ができるか」考えたときに、この光景が蘇りました。

調査をすると、帰宅困難者の問題に対応するために自治体では災害発生時に滞在スペースを提供できる公共施設や企業をリストアップしています。ただ深夜や休日に震災が発生したときに即座に施設を解錠し、スペースを提供するための仕組みができていないことが課題だ、ということがわかりました。
コインランドリーであればほとんどが24時間営業、いつでも無人で開放しています。

この気付きから、帰宅困難者が一晩店内で過ごすために必要なものを備蓄し、もしものときには一時的な滞在場所を提供する「そなえるランドリー」の取り組みが生まれました。

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2025年1月19日にBaluko Laundry Place狛江店の1周年イベントで実施された、そなえるランドリー開帳の様子。


もちろんコインランドリーで提供できるスペースはごく僅かです。それでも、もしものときに「このコインランドリーがあってよかった」と思ってくださる方がいるなら、そなえる価値はあると、私たちは思っています。
コインランドリーは毎日の生活を支えるもの。バルコは「いつも」も、「もしも」も、役立てられるサービスを目指して進みます。


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