着なくなった衣服はPASSTOでリユース&リサイクル。ECOMMITの資源循環の新拠点「東京サーキュラーセンター」見学リポート

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着なくなった衣服はPASSTOでリユース&リサイクル。ECOMMITの資源循環の新拠点「東京サーキュラーセンター」見学リポート着なくなった衣服はPASSTOでリユース&リサイクル。ECOMMITの資源循環の新拠点「東京サーキュラーセンター」見学リポート
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2025年3月から、バルコの一部店舗でECOMMIT(エコミット)の資源循環サービス「PASSTO(パスト)」による衣類回収が始まりました。使わなくなった衣類をリユース&リサイクルして資源を循環させていく、ECOMMITの取り組みは、「衣類や寝具をメンテナンスしながら、大切に長く使い続けていく」バルコの姿勢と親和性があります。

今回は、ECOMMITの国内最大規模の循環拠点、「東京サーキュラーセンター」へ。ECOMMITの寛司絢子さんにご案内いただきながら、リユース・リサイクルの現場を見学してきました。その様子をリポートします。

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バルコは現在、代々木上原、狛江、イオンタウン金沢示野の3店舗に、PASSTOの回収ボックスを設置しています。 

 

不要品をゴミにしない仕組み

ECOMMITは、不要品の回収から選別、再流通まで一貫して手がける循環商社です。創業は2007年。「捨てない社会をかなえる」というビジョンを掲げ、「PASSTO」と称した資源循環サービスを展開しています。

不要品回収は、「PASSTO」の回収ボックスで行います。ECOMMITの活動に賛同する企業と連携し、アパレルブランドの店頭や商業施設、マンションなどに回収ボックスを設置しています。現在、PASSTOボックスをはじめ、店頭やイベントなど回収拠点は、約5,000カ所。最近は、宅配業者などとも連携し、LINEから自宅で不要になった衣類や雑貨をECOMMITに直送できる「宅配PASSTO」も開始しました。

回収した不要品は、全国8カ所にあるECOMMITのサーキュラーセンターや物流拠点に集められます。今回訪れた「東京サーキュラーセンター」は、その一つ。それまで2カ所に分かれていた拠点を1つに集約し、2025年4月に開設したばかりの大型拠点です。

東京サーキュラーセンターは、大型トラックが直接乗り付ける、間仕切りのない巨大な空間です。その中で、①一次選別、②二次選別、③撮影・出品、④在庫管理、⑤出荷という、大きく5つの作業が行われています。
 

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プロピッカーが1点ずつ丁寧に選別

最初に案内されたのは、①と②の選別作業のコーナー。そこで活躍するのは、「プロピッカー」と呼ばれる選別作業の専門スタッフです。
ECOMMITの最大の特徴は、この選別のプロセスにあります。

回収された大量の衣類などは、まず「一次選別」と呼ばれる工程でプロピッカーが一つひとつ手に取りながら仕分けていきます。ここでは、国内外で販売する「リユース品」と、素材に戻して再資源化される「リサイクル品」、カビや濡れなど衛生的にリユースもリサイクルも難しいものは「廃棄品」、大きく3つに分類していきます。

寛司さん:「このプロセスで重要なのは、価値ある品を見逃さないこと。リユース品としての価値があるものをリサイクルや廃棄品としてしまうと、後から取り戻すことができません。一次選別はとても大切な工程です」
 

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水挽さんは、入社して半年ほどのプロピッカーですが、手慣れた様子で選別し、入力作業まで行っていました。


リユース品は、国内向けと海外向けに仕分け、各アイテムのランク付けも行います。衛生的に問題ないもの、洗濯しても落ちない汚れや、やぶれがある傷みの激しい衣類はリサイクルへ。リサイクルはパートナーへ原料として販売します。

寛司さん:「ポリエステル100%の衣類は、リサイクル工程を経て「RENU(レニュー)」素材の原料となります。RENUは、使用済みポリエステルを再生したサステナブル素材です。一方、ポリエステルと綿が使用されているような混紡繊維の衣類は反毛の原料となります。反毛は、主に自動車用資材や吸音材などに再利用されます」

リユースとリサイクルを含めた循環率はなんと約98%。廃棄についても、単に焼却処分せず、固形燃料化(RPF)をしているそうです。

各衣類の選別結果は、専用端末に入力。回収結果はデータ化されて、協力企業と共有されています。たとえば、バルコ代々木上原店から回収した不用品のうち、どれくらいリユースとリサイクル、廃棄されたのか。その割合を知ることができます。 8月の代々木上原店では、18.1kg回収され、海外リユースが9.3kg、国内リユースが8.8kgという結果でした。

誰が担当しても同じ選別となるように、リユースとリサイクル、廃棄のポイントはもちろん、選別やランク付けの基準など、すべてマニュアル化されているそうです。
 

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不要品を唯一無二の商品に、プロピッカーの見立て力

リユースできると判断された衣類は「二次選別」の工程へ。国内外の流通先や卸業者など、取引先のリクエストに応じて、より細かく仕分けしていきます。ここで頼りになるのが、古着やファッションに造詣が深いプロピッカーの見立て力です。

ブランド品とノーブランド品に仕分けるだけではありません。たとえば、「90年代ギャル系」「レトロ」「スポーツウェア」「ヴィンテージ」など、今のトレンドやニーズにあわせて選別していきます。そして、取引先のリクエストに合わせて、詰め合わせたものを販売するそうです。
 

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寛司さん:「大切にしているのは、取引先や顧客の細かいニーズに応えながら、その先にいるお客さまが求めるものを商品として卸すことです。一次選別と二次選別の手間を惜しまないことが、国内外問わず、取引先との信頼関係を築く上でとても重要になります」

仕分けられた衣類は、ランクや種類別に段ボールに入れられていたり、棚に並べられていたり、ハンガーに掛けられていたり。そんな二次選別のスペースは、まるで古着屋のよう。プロピッカーの目利きによって、不要品が商品へと生まれ変わっていく。それを実感できる場所でもあります。実際、古着屋のバイヤーが直接、買い付けに来ることもあるそうです。
 

ものや環境への思いを循環させる場

二次選別を終えると出品作業へ。ECOMMITでは国内外のオークションサイトなどで、直接販売もしています。そのための準備として、ここでは出品する品々を撮影し、梱包まで行っていました。
 

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海外の取引先には、船便で送られます。ベールと呼ばれる塊に圧縮し、コンテナにきっちり詰めていきます。運送効率を上げていくことも、環境への配慮の一つです。
 

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今回の見学で驚いたのは、古着特有のにおいが一切なかったことです。それは洗濯の影響も大きいそうです。

寛司さん:「パストしてくださる方は、『次の人につなげる」という考えに共感いただきながらご利用いただいています。そのため、洗濯してから回収ボックスに入れてくださる方も多くいらっしゃいます。実際、回収した時点で汚れがひどいと、たとえブランド品であってもリユースはできません。そのため、洗濯のご協力はとても重要なんです。においが気にならないのは、PASSTOに関わる方々のリユースやリサイクルに対する意識の高さも影響していると思います」

不要になったものでも、ECOMMITのフィルターを通すことで、再び誰かのお気に入りになったり、素材になったりする。今回の見学は、リユースとリサイクルの可能性を実感する機会にもなりました。

東京サーキュラーセンターは、再流通のための拠点ですが、ものや環境への思いを循環させる場でもあります。価値を見逃さないように真剣に仕分けするプロピッカーをはじめ、出品の準備をする人、出荷のために圧縮ベールづくりを担う人、回収などの物流を担い、現場に出向くリユースアドバイザーまで、それぞれが責任を持ち、より良い未来のために、楽しみながら役割を果たしています。

その結果が、リユースとリサイクル率98%という、高い循環率につながっているのだと思います。ECOMMITの取り組みがこれからも続き、当たり前のものとなるように、バルコでもPASSTOをこれからも増やしていきたいと考えています。
 

 

 

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寛司絢子さん
株式会社ECOMMIT ブランド戦略部 広報・ブランディンググループ マネージャー
メディアでの広告企画職に従事した後、IT・人材サービス企業での広報担当を経て、2024年にECOMMITに入社し現職。


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