オーガニックタオル専門店「IKEUCHI ORGANIC」から学ぶ、タオルの洗濯とケアの極意

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愛媛県今治市でオーガニックコットンのタオルを製造・販売している、IKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック)。同社は、購入後のタオルを心地良い状態で長く使い続けることができるように、洗濯やケア方法を研究し、IKEUCHI ORGANIC製タオルをよみがえらせるメンテナンスサービスも行っています。2019年発売のパナソニック「ななめドラム洗濯乾燥機」NA-VX900Aシリーズに搭載されている「タオル専用コース」の監修を担当したほか、バルコの洗濯代行サービスの「タオル専用コース」も、IKEUCHI ORGANICと一緒に開発しました。
今回は、そんなタオルの専門家であるIKEUCHI ORGANIC代表取締役社長の阿部哲也さんに、タオルのより良い洗い方やケア方法、洗濯に対する考え方などをお聞きしました。

タオルが泣いている

IKEUCHI ORGANICは、知れば知るほどファンになる。タオルの使い心地はもちろん、理念や活動に共感するリピーターが多いことでも有名です。

理念は「最大限の安全と最小限の環境負荷」。有機栽培による綿花など原材料の選定をはじめ、使用電力や染色方法など製造工程、従業員や生産者の働き方に至るまで、徹底して「イケウチ式オーガニック」を追求しています。

org_4s.jpgIKEUCHI ORGANICでは、「グリーン電力証書システム」を利用し、使用する使用電力の100%を再生可能エネルギーである風力発電でまかなっています。


直営店は、東京・南青山と京都、今治の3店舗。いずれの店舗も、新品のタオルが並ぶ店内に洗濯機とシンクが設置されています。

ユニークなのは、新品ではないタオルの手触り感や吸水性を試すことができること。シンクの横には、店舗で洗濯したハンドタオルが並んでいます。

このタオルの使用感を体験できるコーナーでのある出来事が、IKEUCHI ORGANICが洗濯を研究するきっかけになったそうです。

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阿部さん:洗濯後のタオルの使い心地を購入前に体験できるサービスは、2014年に始めました。お客様はシンクで手を濡らし、洗濯と乾燥を何度も繰り返したハンドタオルで手を拭いていただきます。

このサービスを始めて1、2カ月経った頃、タオルの使用感を体験したお客様に「このタオルはどうやって洗っているの?」と質問されました。当時、環境負荷の少ない合成洗剤と柔軟剤を使って、ふわふわに仕上げていたので、それを伝えたところ「そんな洗い方をするなんて、水を弾くタオルを作っているようなもの。水を弾くような感覚のタオルにするなんて、オーガニックタオルが泣いているわ。」と言われたのです。

私たちとしては、ふわふわに洗い上げて申し分ない状態だと思っていたので衝撃でした。そのときは何がどうダメなのかわからず。そこから洗濯の研究を始めました。

まず、各店舗でタオルの洗濯と乾燥のテストを実施。それらを比較して気づいたのは、同じ洗剤で洗っても、各店の仕上がりが違うことでした。

試行錯誤を経てわかったのが、地域の水質によっても洗濯の仕上がりが変わること。洗濯機(機材)と洗剤(資材)、洗うもの(素材)、水質、この4つ(=洗濯の4大変数)の組み合わせのバリエーションは無数にあり、お客様からのご指摘が、洗濯の奥深さを知るきっかけにもなりました。

良かれと思って使っていた柔軟剤が、タオルの吸水性を奪ってしまう要因のひとつであることも、洗濯の学びを深めていく中で気づきました。一般的に流通している多くの柔軟剤を使用してふわふわの風合いが保てるのは、おそらく最初の10回くらいだと思います。使用しているうちに成分がどんどん繊維に蓄積されて、繊維本来の吸水性が失われてしまうんです。最近は柔軟剤の香り付けの効果も人気ですが、薬品や香り付けの仕組みが環境負荷につながる可能性もあるんです。
 

水量は多め、すすぎは3回

2022年から、IKEUCHI ORGANICではお客様のタオルをお預かりして、風合いや性能を元に戻してお返しする「タオルメンテナンス」サービスを開始しました。それに先駆けて2018年に始まったのが、FC今治へのタオルの提供と「タオルメンテナンス」の取り組みです。スポンサー活動の一環として、白いバスタオルを40枚提供し、シーズンオフに回収してメンテナンスをして再び選手に戻すという内容で、この取り組みも洗濯の知見の蓄積につながっているといいます。

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阿部さん:FC今治の選手に提供したタオルを回収してみると、同じバスタオルなのに質感や色合いに違いがあることに気づきました。

大きな要因は、洗濯だと思います。選手によって、洗濯機も洗剤も洗い方も干し方も違いますからね。一般的な家庭用洗剤の中には、着色料が添加されているものも多く、繰り返し使用するうちにタオルに洗剤の色素が付着してしまっていたり、蛍光増白剤の過度な使用で青白くなってしまっていたりしていたんです。

新品で提供したときの使い心地にできるだけ戻すために、水の量や温度など試行錯誤を繰り返しました。そして、見いだした理想の洗い方のポイントは大きく4つ。

①お湯で洗う。
②水量はたっぷり多めにする。
③すすぎは3回。
④洗剤は少なめに、柔軟剤の使用は避ける。

 一般的な洗濯機は、節水と時短の傾向があります。もちろん、手軽で簡単に洗濯できることは魅力でもありますが、その弊害があることは意外と知られていません。実際には汚れを洗い切れていなかったり、洗剤がすすぎ切れていなかったりするのです。その結果、タオルに堆積物が溜まっていき、雑菌の繁殖や変色などにもつながってしまいます。家庭用の洗濯機で洗うときは、水量をあげて、すすぎを3回にする。それを続けるだけでも仕上がりは変わると思います。
 

自宅で洗濯、バルコで乾燥20分

阿部さんはプライベートで、バルコを利用しているヘビーユーザー。自宅近くのバルコに週1回は通われているといいます。どういったものを、どんな風に洗濯されているのでしょう。

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阿部さん:週1回、タオルケット1枚とバスタオル3枚、フェイスタオル2、3枚、60㎝×190㎝の大型のマルチマットを自宅で洗濯して脱水したら、バルコに持っていき乾燥機に20分かけるのがルーティン。僕は寝袋で寝るのが好きなので、自宅でも寝袋の中に大型のマルチマットを敷き、タオルケットをかけて寝ています。いずれも自社製品のタオル製品で、風合いも使い心地の良さも抜群です。それを維持できているのは、週1回のバルコでの洗濯のおかげです。

 20分間の乾燥は、少し短いと思われるかもしれません。しかし、コインランドリーのガス乾燥機は業務用なので、十分乾きます。タオルは乾燥機から出した後の余熱でも乾くので、多少乾きが甘くても畳んでおく。そうすると、ふっくら仕上がります。20分の乾燥で200円。お気に入りのタオル類を長く使い続けられるので、とてもリーズナブルだと思っています。

むしろ、乾燥させすぎる(過乾燥)ほうが良くないんです。外に干してカピカピになったタオルは、素材本来の水分率を下回ってしまった証のようなもの。

乾燥機をかけずに風合いを保つためには、脱水が終わったタオルを広げ、パタパタ風になびかせてから干すこと。タオルのパイルを立たせることが目的なので、手首のスナップを効かせて、勢いよくなびかせるのがポイントです。外干しの洗濯日和は、風のある天気のいい日。過乾燥にならないように程よいタイミングで室内に取り込むことが前提ですが、風で自然にパイルも立ち上がり、ふわふわに仕上がります。

バルコの魅力は、なんといってもナチュラルコースがあることです。日頃は乾燥機のみの利用が多いですが、大量の洗濯ものを洗うときは、洗濯から乾燥まで一気に利用しています。バルコの洗濯は温水がデフォルトで、ナチュラルコースは洗濯せっけんですよね。温水とせっけんの組み合わせは最強で、肌着やタオル類の洗濯はナチュラルコースを必ず選んでいます。

 

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阿部 哲也さん
IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表取締役社長

1991年に慶應義塾大学卒業後、同年大和證券株式会社に入社。2000年に小売チェーン店へ転職し、販売促進、新業態開発、基幹システム導入に携わった後、管理部門取締役を経て退職。2008年にアルバイトとしてIKEUCHI ORGANIC(池内タオル/当時)で働きはじめ、2009年に正社員に。2015年に営業責任者を務め、2016年より現職に。


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