【モンベル×ゴアテックス対談・後編】メンテナンスしながら使い続ける、環境にも配慮したバルコの撥水加工

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【モンベル×ゴアテックス対談・後編】メンテナンスしながら使い続ける、環境にも配慮したバルコの撥水加工【モンベル×ゴアテックス対談・後編】メンテナンスしながら使い続ける、環境にも配慮したバルコの撥水加工
#バルコのこだわり#バルコをつくる人#バルコのこと#モンベル撥水コース#日々のお手入れ
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アウトドアウェアの着心地に影響する撥水性。そのためのメンテナンスについて、日本を代表するアウトドア総合メーカー、モンベルの角南昌輝さんと、機能性素材「ゴアテックス」で知られる日本ゴア合同会社(以下、ゴア社)の阿部功さん、そしてチームバルコの麗狗二美を交えて、話を聞かせていただくという内容。今回は後編です。

左:角南昌輝さん、右:阿部功さん

洗濯と自然環境の保全との密接な関係

洗濯は衣類のメンテナンス。バルコは、良いものを長く愛用することで、環境負荷を減らすことにつながると考えています。
モンベルとゴアテックスブランドはバルコが誕生するより、ずっと前からメンテナンスをしながら快適に愛用し続けることを推奨しています。

モンベルは1975年の創業時から、リペア、リユース、リサイクルに取り組み、店頭でも修理を受け付けています。たとえば、不要になった化学繊維綿のスリーピングバッグを回収し、再生するプロジェクトの実施や、モンベル製品の修理の対応、リペア用品の販売なども行っています。

ゴア社では、1976年のゴアテックスファブリクス採用のウェアの市場投入以来、長い製品寿命を持つプロダクトを提供しており、また、1992年からファブリック製品の原材料の採取から加工、製造、顧客が使用して廃棄されるまでの総環境負荷を調べているそうです。
 

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阿部さん:「購入してから廃棄するまでのサイクルを長くすることで、環境負荷を下げることにつながることが、調査結果のデータからも明らかになりました。防水透湿性素材を正しく長く機能させるためにも、調査を始めた1992年以降、洗濯をはじめ、メンテナンスの情報発信を続けています」

バルコの新しい取り組みの一つは、コインランドリーでアウトドアウェアなどに撥水加工を施すことができる、「モンベル撥水コース」の提供です。
 

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モンベルと一緒に開発したコースで、2023年5月29日からBaluko Laundry Place 小清水町ワタシノで提供を開始しました。現在は、Baluko Laundry Place 代々木上原をはじめ、全国7店舗でサービスを提供しています。

開発のアイデアは、Baluko Laundry Place 小清水町ワタシノの開業に向けた話し合いの中から生まれました。
小清水町らしいコースを作れないか。できれば、今までにない新しいサービスにしたい。小清水町について調べていく中で、モンベルの直営店があり、町民の方々にとても人気があることもわかりました。
 

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麗狗:「モンベルさんは商品の寿命を延ばす方法を発信していて、洗濯がメンテナンスの基本であると伝えられています。それはバルコが目指していることでもあり、とても親和性があると思い、一緒に取り組むことを提案しました」

そして着目したのが、洗濯との関係性が深い撥水加工でした。
 

非フッ素の撥水剤への切り替え

撥水加工に欠かせないのが、熱をかけて乾燥させるというプロセスです。洗濯で汚れをしっかり落とした後、撥水剤につけ込み、乾燥機で乾燥させることで、撥水効果を回復させることができます。その全工程をボタン一つでできるのが「モンベル撥水コース」です。
 

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現在、世界的に撥水剤の成分の切り替えが進んでいます。それは、モンベルもゴアテックスプロダクトも同様です。

角南さん:「撥水剤に使用されるフッ素化合物はとても優秀な素材であるが故に、自然に分解されないという側面があり、世界的には廃絶に向けて動き出しています。モンベルでもフッ素系撥水成分を一切使用しない素材への切り替えを進めています」

「モンベル撥水コース」の撥水剤は、モンベルで市販している非フッ素の『モンベル撥水剤(O.D.メンテナンスはっ水剤)』を使用しています。
 

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ただ、安全性の高い撥水剤は、油をはじく撥油性が低いという難点があるそうです。

角南さん:「皮脂や化粧品などの油や油系の汚れが表地に残りやすく、よりこまめな洗濯や撥水加工の必要性を訴求していこうと考えていました。そんなとき、バルコからコインランドリーで撥水加工を施すサービスを考えていると聞いたんです。ユーザーの方々はより手軽に撥水加工ができるようになるので、まさに願ったり叶ったりでした」
 

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「モンベル撥水コース」は、約半年かけて開発しました。特に考慮したのは、洗濯時の水量です。排水による環境負荷をできるだけ減らすために、使用水量は最小限に抑えています。

麗狗:「通常、モンベルの撥水剤のつけ置き時間は20分ほど。しかし、コインランドリーという特性上、可能な限り時間を短縮しながら、少ない水でも撥水剤がしっかり浸透するようにプログラムを設定しています」

モンベル撥水コースは、レインウェアだけでなく、ダウンジャケットや寝袋などを洗うこともできます。ストームクルーザーのような軽量タイプのレインウェアであれば、3枚まとめて洗濯可能です。過乾燥を防ぐために、乾燥温度は少し低めに設定しています。そのため、ダウンジャケットや寝袋、厚みによっては追加乾燥が必要な場合もあります。

角南さん:「モンベル製の撥水剤が使われ、撥水効果はモンベル製品で検証をしていますが、もちろんモンベル以外のアウトドアウェアやギアも洗えます」
 

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阿部さん:「モンベル撥水コースは、アウトドア業界にとって画期的なサービスだと思います。ゴアテックスファブリクスに関して言えば、洗濯しても、防水、透湿、防風性の機能が低下することはありません。もちろん、表地や裏地などによって洗濯方法は異なるので、洗濯表示は必ず確認してください」

麗狗:「現在は7店舗での展開ですが、2025年春までには10店舗を目指しています。モンベル撥水コースで使用している撥水剤はご自宅でも使えるものですので、店舗が近くにない方は、洗濯と撥水剤への漬け込みをご自宅で、乾燥工程はコインランドリーの乾燥機を利用していただくと、モンベル撥水コースに近い効果を得られます。まずは洗濯と乾燥をすることから、楽しくメンテナンスしていただけたらと思います」
 

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モンベルO.D.メンテナンス はっ水剤(つけ込み専用)
ムラなく製品全体にはっ水加工を施すことができる、環境にやさしいフッ素不使用のつけ込み専用のはっ水剤。乾燥機やドライヤーで熱処理を加えることで、はっ水性能が得られ、レインウエアの防水透湿性を損なわずに加工を施すことができます。スプレータイプも販売しています。
 

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左:株式会社モンベル 角南昌輝さん
商品企画、生産管理を経て、現在は修理やオリジナルプリントなどを行う「生産本部R3ディビジョン」の統括責任者

右:日本ゴア合同会社 阿部功さん
GORE-TEXブランド/アカウントマーケティング ファブリクス・ディビジョン


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