【モンベル×ゴアテックス対談・前編】アウトドアウェアの撥水がもたらす着心地と洗濯の関係性

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【モンベル×ゴアテックス対談・前編】アウトドアウェアの撥水がもたらす着心地と洗濯の関係性【モンベル×ゴアテックス対談・前編】アウトドアウェアの撥水がもたらす着心地と洗濯の関係性
#バルコのこだわり#バルコのこと#モンベル撥水コース#バルコをつくる人#日々のお手入れ
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機能もデザインもお気に入りの、アウトドアウェア。心地良く、長く使い続けたい。
そのために欠かせないのが、アウトドアウェアの重要な機能「水をはじく撥水性」を保つことです。

手軽にメンテナンスできるように、バルコは日本を代表するアウトドア総合メーカー「モンベル」と共同で、アウトドアウェアに撥水加工を施せる「モンベル撥水コース」を開発しました。

今回はアウトドアウェアのメンテナンスについて、モンベルの角南昌輝さんと、機能性素材「ゴアテックス」で知られる日本ゴア合同会社(以下、ゴア社)の阿部功さん、そして「モンベル撥水コース」の開発に携わったチームバルコの麗狗二美を交えて話を聞きました。

前編は、撥水や加工の基礎知識について、後編は、メンテナンスと環境の関係性と「モンベル撥水コース」の開発について、2回に分けてお届けします。

左:角南昌輝さん、右:阿部功さん

高機能ウェアはオリジナル素材の開発から

ダウンジャケットやレインウェアなど、アウトドアウェアは、機能を高めるために考え尽くされたシンプルなデザインが魅力のひとつです。近年はタウンユースでファッションとして楽しむ人も増え、使用シーンは広がっています。

そんなアウトドアウェアの着心地に影響するのが、撥水性です。      
 

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たとえば、モンベルを代表するレインウェアのフラッグシップモデル「ストームクルーザー」は素材にゴアテックスファブリクスを使用しています。特に防水透湿性に優れた素材で裏地には「GORE® C-KNIT® バッカーテクノロジー」を使用しています。水は通さず汗による水蒸気は逃すので、蒸れにくいのが特徴です。      
 

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モンベルの商品開発のポリシーは、「アウトドア・アクティビティを通じて、自分たちが欲しいものをつくること」。高温多湿で多雨という日本の環境で使いやすい商品となるように、素材メーカーと一緒に糸や生地から開発しているそうです。      

角南さん:「ストームクルーザーの素材『ゴアテックスファブリクス』は、ナイロンの表地と極細ニットの裏地の間に、ゴアテックス メンブレンを貼り合わせた素材です」      

「ゴアテックス メンブレン」とは、ゴア社が開発した微細な孔を無数に持つ特殊素材のこと。防水性、透湿性、防風性に優れているのが特徴で、この素材を貼り合わせた生地を使用したものが、ゴアテックスプロダクトと呼ばれています。      
3_goretex_illust_pc.png 阿部さん:「私たちはゴアテックスファブリクスという生地を提供するだけでなく、最終製品がその生地の特性である防水性、透湿性、防風性を確保できているか、ゴア社で最終製品をテストして確認するところまで携わっています」

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そんなゴアテックスファブリクスの高い機能を発揮させるためには、条件があります。それは、表地の撥水性が効いていることです。

ゴアテックスファブリクスは、表地の表面が水の膜で覆われると透湿性が弱まり、汗が外に放出されにくくなります。ウエア内に結露が生じ、体も冷えやすくなり、着心地に影響してくるのです。      
 

ゴアテックスファブリクスの性能を維持するためのメンテナンス方法とは

そもそも、生地の撥水性とは、一体どのようなメカニズムなのでしょうか。

撥水加工が施された生地の表面には、「撥水基(はっすいき)」という撥水成分が整然と立ち上がって並びます。その撥水基の上を水滴がコロコロと転がっているのが、撥水が効いた状態です。

一方、撥水基は、皮脂汚れや摩擦などによって倒れてしまいます。それが水をはじかなくなった状態です。      
 

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撥水性を維持する方法は、洗濯によるメンテナンスです。

麗狗:「撥水性を維持するためにまずいちばん大事なことは洗濯して汚れを落とすことです。撥水基の表面に皮脂などの汚れが付着するとその部分は本来の撥水性を発揮できません。洗濯して汚れを落とした後、さらに乾燥機やアイロンなどで熱を加えると、撥水基が整い、しっかり水をはじくようになります」      
 

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角南さん:「洗濯の効果は大きく2つあります。1つは撥水が回復すれば、着心地や使い心地が良くなること。もう1つは、製品そのもの寿命を延ばせること。汚れがついているのに洗わずに放置していると、生地の縫い合わせ部分に貼っている防水テープ「シームテープ」が、剥がれやすくなることもあります。特に首回りは皮脂汚れがつきやすく、シームテープの劣化(加水分解)にもつながると考えています」      

一方、ゴアテックスプロダクトも水洗いしてもいいの? そんな声も聞こえてきます。      
バルコはInstagramで、ゴアテックスプロダクトの洗濯方法についてアンケートを実施しました。①「自分で洗濯OK」か②「ドライクリーニング推奨」の2択で、正解は①。しかし、約4割の人が選んだのが「ドライクリーニング推奨」でした。      
 

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阿部さん:「洗濯表示に従っていただくことが前提ですが、ゴアテックスプロダクトは基本的に洗濯によるメンテナンスを推奨しています。バルコのアンケート結果からもわかるように、意外と知られていないので、公式Webサイトでは動画で解説していたり、SNSでも定期的に発信したりしています」      

ただ、撥水加工による撥水性は洗濯だけで永遠に保つことはできません。      

麗狗:「洗濯と熱加工によるメンテナンスをしても撥水性が戻らなくなったら、撥水剤で再加工をするタイミングです」      

撥水剤は市販されており、モンベルでも販売しています。自宅で洗濯から撥水加工まで行うことはできますが、より手軽にできるように、バルコはモンベルと一緒に「モンベル撥水コース」を開発しました。      

後編では、モンベル撥水コースの開発のきっかけ、特徴など解説します。


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